1.メトロポリタン・オペラ来日「ランメルモールのルチア」6/19

震災前に正規にS席を取って非常に楽しみにしていた公演だったので、開催があやぶまれたりダムラウ降板が囁かれたりして、3月から6月までハラハラし通し。しかしその甲斐はあった。何と言っても世界トップの歌姫ダムラウの至芸に尽きる。タフな彼女、狂乱の場の長丁場でも一瞬の隙もなく観客に恍惚を与え続けた。しかも対するベチャワもこちらの気持ちをかきたてる歌唱で、最後の最後まで興奮状態。重唱も素晴らしかったなあ、思い出すだけで血が沸き立つ。フリットリの「ラ・ボエーム」も直前にチケットを入手して2度も見させてもらって、彼女のファンになった。METクオリティはすごい。

2.シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 Aプロ 10/23

ギエムのクラシックは白鳥のPDDくらいしか見たことなかったので、一幕ものとは言え「田園の出来事」を生で見ることができたのは貴重な体験だった。彼女の表現力には舌を巻いた。あの身体能力と感性と音楽性が組み合わさることでどういうことが起きるのか、しかと見届けさせてもらいました。ギエムが歴史的バレリーナであるという生証人のひとりにやっとなれたように思う。

3.ケント・ナガノ指揮バイエルン国立管弦楽団特別演奏会 9/28

「ナクソス島のアリアドネ」もよかったけど、この公演はワーグナーに対して全く初心な私に鮮烈な印象を残した。R.シュトラウスにブラームスもうれしい。バイエルンのオケでドイツの敬愛する巨匠達の曲を聴ける幸せ。ケント・ナガノ氏の知的な指揮姿が美しかった。

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3.11のあと舞台のキャンセルが続き美術展は中止され、とても傷ついた。図書館とか音楽情報センターなんかも閉館が続き、本屋なんかも早い時間に閉められてしまうので文化的な心の拠り所がなくなってしまって。世界中が日本を敬遠していたような状況で、プラシド・ドミンゴは約束を守って4月にチャリティコンサートを行ってくれた。ちょうど仕事が休みだったので思い立ってサントリーホールの前で1時間ほど並んで、当日チケットを入手。ホールの正面玄関のパイプオルゴールがいつものように回り出したのを見た時は蘇生したような心地だった。ドミンゴ全盛期をちゃんと見ていなくて、最近はバリトンやるわ指揮はやるわで色気の多いおじいちゃんだなあと思っていたのだけど、コンサートでは感激して泣いた。ドミンゴが語っていたけど、本当に芸術は人の心を救う。優れた芸術家はそれがわかっている。

5月に入ってバーミンガム・ロイヤル・バレエ団が来日してくれた。日本を大切に思ってくれているビントレーは、新国立でも「アラジン」を上演してくれた。ゲルブ総裁の尽力でMETも来てくれて、ああこれで思い残すことはない(笑)と思ったけどルグリもアメリカン・バレエ・シアターもやってきた。秋にはボローニャ歌劇場とバイエルン歌劇場も予想を覆し来日。いつの間にかすごいオペラ充な年になっていた。サンクトペテルブルク・アカデミー・バレエにギエムとバレエも充実。グルベローヴァやまさかのゲオルギューのリサイタルも行った。パリ管弦楽団も素敵だった。新国立の「イル・トロヴァトーレ」「ルサルカ」「こうもり」のソリスト達も代役含めみなさんよい舞台を見せてくれた。

振り返ってみると幸せな1年だったと思う。アーティストのみなさんに、感謝します。生き返らせてくれてありがとう。