レニングラード国立バレエ「白鳥の湖」1/8

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東京国際フォーラムAホールでレニングラード国立バレエの「白鳥の湖」を観た。

オデット/オディール イリーナ・ペレン
ジークフリート レオニード・サラファーノフ
悪魔 ウラジーミル・ツァル
道化 デニス・トルマチョフ
王妃 ズヴェズダナ・マルチナ
家庭教師 イーゴリ・フィリモーノフ
パ・ド・トロワ タチアナ・ミリツェワ→? ワレーリア・ザパスニコワ アントン・プローム

指揮:ヴ ァ レ ン テ ィ ン ・ ボ グ ダ ー ノ フ
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団


毎年年末年始に来日してくれるレニングラード国立バレエ、バレエファンになった2007年頃から毎年見ている。友人に言わせると一流ではないカンパニーだけど、プリンシパルのシェスタコワのファンなのだ。ただし彼女は去年から妊娠・出産で来日メンバーから外れている。それなのになぜ見に行き続けるのかと言うと、やり手の総裁ケフマン氏がなんと大好きなコレオグラファー、ナチョ・ドゥアトを芸術監督に引っ張ってきたから。マリインスキーのサラファーノフ、ボリショイのオシポワ・ワシリエフを引き抜いたのにもびっくりしたけど、スペイン国立ダンスカンパニーを実質的に解雇されたナチョ様に目をつけるなんて、ケフマン氏大胆。たしかナチョはダンサーでもあるけどクラシックの素養はなくて、スペインではクラシックを演れと言われて反発したと聞いていたんだけど、そんな彼をロシアバレエの本拠地に据えるなんてね。まあペテルブルクにはエイフマン・バレエというコンテの良いカンパニーもあるけど、ミハイロフスキー劇場くらいになるとクラシックの演目を外すわけにはいかないだろうから、その辺どんな管理をしていくのかとか興味は津々。12月にネット中継されたナチョ版「眠り」は賛否両論だった。

というわけで今回の演目にナチョの作品はないものの、カンパーのみんながどう変わったか、自分の目で確かめたかった。いつもシェスタコワばかり見ていたから他のメンバーはあんまりよく知らないのだけど、今や看板となったペレンとサラファーノフの相性とか、群舞のレベルとか。・・・群舞はすごく良くなっていたように思う。マリインスキーほどではないけど容姿的にもそろっていたし。逆にトロワとか、各国の踊りは平凡な感じだった。サラファーノフはエレガントさに磨きがかかっていて、テクニシャンながら一瞬たりともギラギラしたところを見せず、品の良い王子を演じていた。ペレンは何度か見ているけれど、やはりシェスタコワのような優美さを感じられず、スタイルはいいし美人だし技術もあるのに、と目を皿のようにしてどこが違うんだろうと見つめてしまった。音楽性かな。シェスタコワはおっとりしているように見えて、必要な時はものすごく素早く動いて音を先取りしていたもの。サラファーノフは童顔だけどペレンも若々しいし身長のつり合いも取れていて、サラがペレンを見守り導いていくようなペアなのかなあというのが最終的な感想。だって彼は世界の超一流ダンサー達と組んで踊ってきた人だもの。ミハイロフスキーのダンサー全員のお手本になってもいいんじゃないのかしら。

来年はいよいよ新生マールイの姿が明らかになるのだろうな。ちょっと怖いような気もする。

leningrad_ballet2012

2011年舞台 best3

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1.メトロポリタン・オペラ来日「ランメルモールのルチア」6/19

震災前に正規にS席を取って非常に楽しみにしていた公演だったので、開催があやぶまれたりダムラウ降板が囁かれたりして、3月から6月までハラハラし通し。しかしその甲斐はあった。何と言っても世界トップの歌姫ダムラウの至芸に尽きる。タフな彼女、狂乱の場の長丁場でも一瞬の隙もなく観客に恍惚を与え続けた。しかも対するベチャワもこちらの気持ちをかきたてる歌唱で、最後の最後まで興奮状態。重唱も素晴らしかったなあ、思い出すだけで血が沸き立つ。フリットリの「ラ・ボエーム」も直前にチケットを入手して2度も見させてもらって、彼女のファンになった。METクオリティはすごい。

2.シルヴィ・ギエム・オン・ステージ2011 Aプロ 10/23

ギエムのクラシックは白鳥のPDDくらいしか見たことなかったので、一幕ものとは言え「田園の出来事」を生で見ることができたのは貴重な体験だった。彼女の表現力には舌を巻いた。あの身体能力と感性と音楽性が組み合わさることでどういうことが起きるのか、しかと見届けさせてもらいました。ギエムが歴史的バレリーナであるという生証人のひとりにやっとなれたように思う。

3.ケント・ナガノ指揮バイエルン国立管弦楽団特別演奏会 9/28

「ナクソス島のアリアドネ」もよかったけど、この公演はワーグナーに対して全く初心な私に鮮烈な印象を残した。R.シュトラウスにブラームスもうれしい。バイエルンのオケでドイツの敬愛する巨匠達の曲を聴ける幸せ。ケント・ナガノ氏の知的な指揮姿が美しかった。

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3.11のあと舞台のキャンセルが続き美術展は中止され、とても傷ついた。図書館とか音楽情報センターなんかも閉館が続き、本屋なんかも早い時間に閉められてしまうので文化的な心の拠り所がなくなってしまって。世界中が日本を敬遠していたような状況で、プラシド・ドミンゴは約束を守って4月にチャリティコンサートを行ってくれた。ちょうど仕事が休みだったので思い立ってサントリーホールの前で1時間ほど並んで、当日チケットを入手。ホールの正面玄関のパイプオルゴールがいつものように回り出したのを見た時は蘇生したような心地だった。ドミンゴ全盛期をちゃんと見ていなくて、最近はバリトンやるわ指揮はやるわで色気の多いおじいちゃんだなあと思っていたのだけど、コンサートでは感激して泣いた。ドミンゴが語っていたけど、本当に芸術は人の心を救う。優れた芸術家はそれがわかっている。

5月に入ってバーミンガム・ロイヤル・バレエ団が来日してくれた。日本を大切に思ってくれているビントレーは、新国立でも「アラジン」を上演してくれた。ゲルブ総裁の尽力でMETも来てくれて、ああこれで思い残すことはない(笑)と思ったけどルグリもアメリカン・バレエ・シアターもやってきた。秋にはボローニャ歌劇場とバイエルン歌劇場も予想を覆し来日。いつの間にかすごいオペラ充な年になっていた。サンクトペテルブルク・アカデミー・バレエにギエムとバレエも充実。グルベローヴァやまさかのゲオルギューのリサイタルも行った。パリ管弦楽団も素敵だった。新国立の「イル・トロヴァトーレ」「ルサルカ」「こうもり」のソリスト達も代役含めみなさんよい舞台を見せてくれた。

振り返ってみると幸せな1年だったと思う。アーティストのみなさんに、感謝します。生き返らせてくれてありがとう。

2011年美術展 best3

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1.名和晃平 シンセシス@東京都現代美術館

現代作家の中で圧倒的に波長が合う名和さんの、本格個展。開催は6月からだったが大型作品が多く新作の制作にあたっては3.11の震災の影響がかなりあったと思う。が、美術館の既製の照明を使わず独自に設置するなど細やかな空間コントロールまでやってのけて、大学時代からブレのない名和作品の展開にとっぷりと漬かることができた。同時期にB GALLERYで行われた「GRID-Synthesis」では作品集の製作も手がけられたデザイナー豊永政史氏との対談を拝聴。相変わらずの名和さんぶり(豊永さんは名和クオリティとおっしゃっていた)が伺えて興味深かった。

2.もてなす悦び―ジャポニスムのうつわで愉しむお茶会@三菱一号館美術館

アメリカの個人コレクターの蒐集品を中心に、19世紀後半のジャポニズムの影響を受けた英米の工芸品(食器が多い)を華やかに陳列。コレクターについてのキャプションや写真を通じて、自分が好ましいと思う美品の相対的な価値の落としどころを探るさまを見せてもらったのが大変興味深く、自分がコレクターになったら...という妄想を楽しませていただいた。蒐集分野が私のツボにはまっていたのです。

3.版画でつくる―驚異の部屋へようこそ!@町田市立国際版画美術館

「脅威の部屋」は15-18世紀にヨーロッパで流行した珍品の陳列室。今日の博物館の前身となったらしい。このタイトルを持つ版画はいくつも見たことがあったが、今回は動物図鑑や解剖図など幅広い版画作品(200点!)で人類の飽くなき好奇心を見せつけてくれて、鑑賞に没頭させられた。珍しく図録を購入。ソーントンの多色刷り「フローラの神殿」の妖しい美しさが印象的だ。

新国立劇場「こうもり」12/7

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新国立劇場で「こうもり」を観た。

【ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン】アドリアン・エレート
【ロザリンデ】アンナ・ガブラー
【フランク】ルッペルト・ベルクマン
【オルロフスキー公爵】エドナ・プロホニク
【アルフレード】大槻孝志
【ファルケ博士】ペーター・エーデルマン
【アデーレ】橋本明希
【ブリント博士】大久保光哉
【フロッシュ】フランツ・スラーダ
【イーダ】平井香織

【合 唱】新国立劇場合唱団
【バレエ】東京シティ・バレエ団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

【指揮】ダン・エッティンガー
【演出】ハインツ・ツェドニク
【美術・衣裳】オラフ・ツォンベック
【振付】マリア・ルイーズ・ヤスカ
【照明】立田雄士


この有名なオペレッタはさすがに以前見たことがあったが、割とマイナーな劇場のものだったので印象が乏しい。今回は友人お勧めの演出だったので、事前に何度もCD(グルベローヴァがアデーレ)を聴いて大きな期待をもって鑑賞。12月の舞台鑑賞は結局この1本だけとなったが、それで十分というくらい楽しんだ。

強く印象に残ったのはアイゼンシュタインのアドリアン・エレートと指揮のエッティンガー。エレートは今まで見てきたオペラ歌手とは全然風貌が違って、スマートで軽やかな動きを見せる芸達者な役者だった。演出のツェドニクは「こうもり」の4役をこなすウィーン宮廷歌手だそうだが、エレートもこの舞台を隅から隅まで掌握していて、彼が軸となってシュトラウスⅡ世の世界を正しく再現しているように感じられた。今まではフランクを演じていてアイゼンシュタインは初役だったと後で知って、驚いた。リズムの取り方がうまい。

エッティンガーは若いw。彼が指揮だってことは頭になくて臨んだので、ツンツンした頭がオケピに現れた時はえっと思ったが、ロックな感じ(というと語弊があるが)で飛ばしてくるのは嫌いじゃなかった。雷鳴と稲妻のポルカはカッコよかったです。板の上では芸達者たちが笑いを取りまくり(みなさん本当に演技が上手)、エッティンガーのオケは炸裂という年末らしい盛り上がった舞台だった。

ピクチャ 1

ARCHITANZ 2011 11/24

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メルパルクホールでスタジオアーキタンツ10周年記念公演「ARCHITANZ 2011」を観た。

「トキ」 世界初演
コンセプト:津村禮次郎
演出・振付:小尻健太*
出演:酒井はな 山田勇気 山崎文香 小尻健太* 津村禮次郎
(*小尻健太の『尻』の本来の表記は「尸に丸」)

「譜と風景」 再演
振付:アレッシオ・シルヴェストリン
出演:横関雄一郎 金田あゆ子

「ラフマニノフ・ピアノコンチェルト第3番」(Rachmaninov 3rd Piano Concerto) 日本初演
2004年に46歳の若さで急逝した、ヨーロッパ現代バレエ最重要振付家の一人、ウヴェ・ショルツ。
ラフマニノフの代表曲に振り付けられた傑作、奇跡の全幕日本初演!!
振付:ウヴェ・ショルツ
振付指導:ジョヴァンニ・ディ・パルマ 木村規予香
出演:酒井はな 西田祐子 富村京子 坂本香菜子 藤野暢央 八幡顕光 奥村康祐 グレゴリー・バリノフ ほか


アーキタンツが公開している公演紹介映像。



ナチョつながりで知り合ったバレエ友さんに教えてもらった公演。ウヴェ・ショルツの振付が見られる貴重な機会と。アーキタンツは田町にあるダンススタジオで、以前から名前は知っていたけど今回チケットを取るためスタジオまで行ってみた。錚々たる招聘講師を揃えた魅力的なスタジオだった。体が硬くてバレエはむつかしいんだけど、そのうち通ってみたいと思っている。

さて公演。小尻さんはtwitterでよく見かけるダンサー兼振付家。ブログもたまに拝読するけど、感性の豊かな方という印象。「トキ」は津村禮次郎氏の創作能から派生した作品ということで、津村氏のミニマムな能の動きがキーとなっているけどそれに囚われない確固としたダンス言語を持った振付をされていた。小尻さんご本人が高度な身体能力を持ったダンサーだから、体の可動性を熟知されているのだろうな。酒井さんが新鮮な輝きをはなっていた。まあパフォーマーとして津村氏は1枚も2枚も上手で、結局氏の手の平の上で繰り広げられたパフォーマンスという印象はあったけど、紗幕を使ったアンシンメトリーな舞台は小尻さんの俯瞰能力を物語る独創的なものだった。

「譜と風景」 のシルヴェストリン作品はセルリアン能楽堂で見たことがあって、この時も横関さんが出演されていた。小さな舞台上での彼の小動物のようなしなやかさが印象的だった。あと、すっかり忘れていたけど横関&金田さんの「譜と風景」は昨年8月のローザンヌ・ガラ@青山劇場ですでに見ていたのだった。...寝てしまったとブログに書いている。あんまりこなれていなかったのだろうか。今回は横関さんの動きが良くてすごいなああの関節まわりの可動性は、と感心しながら鑑賞してた。音楽が地味目で反復が多くて飽きやすい作品ではあるが、ノレれば快適。

最後は期待のウヴェ・ショルツ。開幕と同時に舞台上にずらりと並んだダンサーたちが視野に入った時はメイクの浮きやすい日本人顔のオンパレードにひいたけど、すぐにショルツの壮大な世界にひきこまれた。私、コンテンポラリー・バレエにはウィットと言うかユニークさが欲しいと思っているんですが、それもばっちり。さらにラフマニノフの重層的な名曲を視覚化したこみいった振付をダンサーのみなさんが忠実に再現していて、テクニックで魅せ疾走感でノせパッションで観客を圧倒。酒井さんをはじめ、各自が個性を発揮しつつ高揚した表情で踊りきっていた。バランシンに較べると幾分土臭い感じの、圧倒的な群舞に私は両手を広げて「参りました」と笑いつつ、一生懸命心の中で走り彼らにおいて行かれまいとがんばった。

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